選りすぐりのライブスター証券

失敗した社員も予想以上に明るい。 極論すると、K電子では、挑戦しない人は、何もしないというミスを犯していることになってしまうのである。
人間は失敗から多くのことを学ぶ。 何もしなければ、失敗もミスもないが、成長も望めない。
失敗を次の成功の肥やしにできれば、大いなる前進である。 人の成長ということを考えたら、これ以上の勉強はない。
その意味では、失敗は、人材への有効な投資とただし、明るい形での敗者復活がなければ、その失敗を活かすこともできないし、失敗した人間は自らを奮い立たせることもできない。 それゆえ、K電子では、基本的にはどんな信賞必罰も半年でチャラになると同時に、減俸の記録は人事考課などの人事記録には一切残らないような仕組みにしている。
Tが、何よりも恐れていることは、失敗を恐れて何もしないことだ。 これが一番問題だという。
企業の発展においては、行動、挑戦の文化こそが重要なのだ。 ホンダの創業者のHは、よく退任の挨拶などで、大過なくサラリーマン人生を過ごすことができましたと言ってくる人がいるが、「大過がないのが、一番大過だ」だとバッサリ切り捨てた。
「失敗が人間を成長きせる。 失敗のない人間は気の毒だ。

私は失敗談にこそ興味がある」とも言って、挑戦を積極的に奨励した。 新分野、新事業、新商品などへの挑戦なくしては、この変化の激しい時代を生き残れない。
Tの一番大きな仕事はやる気のある若い社員を育て、彼らがあらゆるビジネスチャンスを見つけて新規事業に果敢にチャレンジしていくことができる環境を整備することだという。 これが同時に、次の世代を担う経営者養成、人材育成につながっていく。
現に、第2世代が育ってきて、会社の屋台骨を支えている。 営業の専務取締役のS、T、常務取締役のK、K、S、取締役のK、Y(現M社長)、T(現K社長)など鐸々たる顔ぶれだ。
おこぜに似ているか否か、顔の造りの善し悪しは別として、中身は抜群に素晴らしい彼らが、Tの遺伝子を受け継ぎ、成長しているので、次の世代の成長を強く予感きせられる。 彼らはT経営者養成所の優等生たちだ。
みんな明るくて元気で屈託がない。 そして、第一世代として大所高所からリードするK電子の創業当初のメンバーであるT副社長、KK社長たちがいる。
特に、9年連続減俸記録を持ちながらもK電子の海外部門を開拓・成長きせたS、それに勝るとも劣らないK、T、Tは、大きく失敗しても、さらに大きく取り返して、会社に何倍もの利益をもたらした。 彼らは失敗を力に変換できる猛者たちだった。

社内には、どっちが失敗の額が大きいというような、どうも失敗自慢の社風があるようで、彼はある事業で何億ほど損させたが、後にその何倍も稼ぎ出したと、いわば失敗がさも勲章だといわんばかりの明るいパワーがみなぎっている。 Tはいつも言っている。
「わが社は、人間しか資産がない会社です。 それゆえ社員一人一人が成長してくれることが唯一にして最大の武器です。
人の成長が会社の成長、それがK電子といえます」Tの遺伝子を植えつけられて育ってきた社員一人一人が築いてきた人脈など、無形の財産の総和が、財務諸表に表れないK電子の大きな武器となっている。 Tの考え方や理念をいかに社員が吸収して成長してきたか、その過程の特徴的な代表例として、K社長のTを通して見てみよう。
Tが入社したのは、第2次オイルショックの直前だった。 1977年、大手企業が採用を中止している時に、大学を卒業した。
なぜ入社したかというと、K電子が電気通信大学において、大胆にも入社説明会を開いていたからだ。 当時、電通大で一番多く説明会をしていたのが、東芝、沖電気、ソニーなどだった。
T、日く、Cの前の説明会がK電子だったと記憶する。 「随分度胸のある会社だなというのが第一印象。
当時あまり世間を知りませんから、説明会に来るのだったら、そこそこの会社なのだろうなと思って会社案内を見たら、従業員がまだ30名ぐらいの小さな会社で、逆に興味が湧いた」という。 Tの意気を感じ取ったのだった。
当時、Tが行きたい大手企業は、採用中止だったし、中途半端に世間で名が通っていても、下請けのような企業などには入りたくないという思いがあった。 だから、どうなるかわからないが、思い切ってK電子に応募したという。
「ただ、社名のKは、印象が強かったですね。 何とローカルなのだろうと。

電子業界なのに。 そこに電子とつける社名がまだ少なかったですね。
ミスマッチというか、K藩のKと最先端の電子がついている社名で、ただならぬ予感がしまして、興味を持ちました。 想像以上に小さな会社ではあったが、当時のSD専務が食事をご馳走してくれ、それが非常に美味しかったことも、入社のきっかけだったと振り返る。
ところで、実はこれは、Tが当時からいかに「商社は人材が宝」と考えていたかの証拠となる。 創業9年の小さな会社が、身の丈以上に、リクルートにお金をかけていたのだ。
リクルート費用として、1千万円近いお金をかけていた。 ここにも商社は人という信念が見て取れる。
だからこそ、K電子は並みいる他社をしのいで、ここまで大きく成長できたのだ。 人の成長こそが会社の成長といえる。
その頃の雰囲気がどんな感じだったか。 Tによると、「若い自分たちが何とかしなきゃいかん会社」というふうに新入社員の頃から思っていた。
「上を見てもおこぜみたいな顔している恐そうなTと、大番頭の総務経理のOやSとか、まわりの誰を見ても年寄りで若い連中から見ると動きが悪い。 だから逆にいうと自分たちがここの会社に入って何とかしなければと思った」お仕着せのような新人教育とか、新入社員研修とかもなかった。

「何かやりたいことがあればどんどんやれと。 入社して一年もしないうちに海外をやりたいといえば、貿易の方に移らせてくれるし、やりたいことを新人の頃からやらせてくれた、ということが一番の宝でしょうね」当時、Tは「電子部品の便利屋(コンビニ)」ということを看板にして、顧客第一主義で、「御用聞き」のように、お客様のニーズを最優先して、徐々に信頼関係を深め、萌芽が見られた。
そして、Iゲームに陰りが見え始めるや否や、1980年には、当時パソコン分野では高いシェアを誇っていたアップル社のパソコン用CRTディスプレーの委託生産に乗り出した。 さらに、1983年からのFと、エレクトロニクス産業に押し寄せた新しい波やブームに着実に乗った。
この年、株式を店頭公開し、翌年の1986年12月23日に、東京証券取引所第2部に上場した。 店頭公開した翌年の東証2部上場は、当時の短期上場のスピード記録だった。
また、社員平均年齢も24、3歳で、当時の最年少記録を塗り替えた。 その後も、積極的な海外展開やM&A(企業の買収・合併)、技術力の強化などによって波を巧みにとらえて快進撃を続け、1997年9月、東証一部に上場した。
お客のすそ野を広げてきた。 それは言い換えれば、電子部品メーカーの販売代理業ではなく、機器メーカーなど、ユーザーの購買代行業に徹してきたわけである。
Tは、顧客の懐に深く入り込み、先を読む積極的な営業を展開することにより、エレクトロニクス産業のブームの波をいち早く察知して、一つ一つ着実にモノにしてきた。

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